経理部長への転職は難しい?年収・求人の種類・求められる経験を解説

経理部長への転職では、社内昇進とは異なる経験や役割が求められます。
厚生労働省の「令和7年賃金構造基本統計調査」によると、部長級の平均勤続年数は22.6年、平均年齢は53.1歳です。
この数字から、部長級には同じ企業で長く勤務してきた人が多いことがわかります。
ただし、平均勤続年数が長いからといって、部長ポストの大半が社内昇進で埋まる、外部から転職できる求人がほとんどないとまでは断定できません。
企業が経理部長を外部から採用する背景には、IPO準備による組織の新設、事業承継やM&A、前任者の退職などがあります。
経理部長の求人を選ぶときは、年収だけでなく、なぜ外部採用を行っているのかを確認することが重要です。
本記事では、厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査と令和6年雇用動向調査、dodaの平均年収ランキング、JAC Recruitmentの転職成約データをもとに、経理部長の転職事情を解説します。
公的統計と転職サービスのデータでは対象者が異なるため、それぞれの母集団を分けて扱います。
経理部長や管理職クラスの求人には、一般に公開されている求人だけでなく、転職エージェントが取り扱う非公開求人もあります。
非公開求人だから年収が高いとは限りませんが、組織変更や後任人事に関わるため、一般公開されない求人が存在する可能性はあります。
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経理部長への転職が狭き門になる理由2つ

経理部長への転職では、求人の数だけでなく、ポストが空いた背景や企業が求める役割が重要です。
厚生労働省の統計では、部長級の平均勤続年数が20年を超えています。また、経理事務のハローワーク有効求人倍率は1倍を下回っています。
確認したい数字は、次の2つです。
- 勤続年数: 部長級の平均勤続年数は22.6年
- 求人倍率: 経理事務の有効求人倍率は0.59倍
ただし、どちらも経理部長の転職求人だけを対象にした数字ではありません。
部長級の平均勤続年数は22.6年
厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査によると、部長級の平均勤続年数は22.6年、平均年齢は53.1歳です。
役職別の平均勤続年数と平均年齢は、次のとおりです。
| 役職 | 平均勤続年数 | 平均年齢 |
| 部長級 | 22.6年 | 53.1歳 |
| 課長級 | 20.9年 | 49.5歳 |
| 非役職者 | 10.8年 | 41.8歳 |
役職が上がるほど、平均年齢と平均勤続年数も長くなっています。
ただし、平均勤続年数は、調査対象者が現在勤めている企業へ入社してからの年数です。部長級になった時期や、社内昇進と中途採用の割合を示す数字ではありません。
したがって、「部長ポストの大半が社内昇進で埋まっている」とは断定できません。
それでも、長く勤務してきた人が部長級に就いている傾向があるため、外部採用では社内候補者にはない経験が求められる可能性があります。
例えば、次のような経験です。
- 上場企業での連結決算
- 開示書類の作成
- IPO準備
- 内部統制の構築
- M&Aや組織再編
- 会計システムの導入
- 経理部門の立て直し
- 資金調達や金融機関折衝
経理部長求人へ応募するときは、なぜ社内人材ではなく外部採用を行うのかを確認してください。
経理事務の有効求人倍率は0.59倍
厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」によると、令和6年度における経理事務の有効求人倍率は0.59倍です。
有効求人倍率とは、ハローワークの有効求人数を有効求職者数で割った指標です。
単純計算では、有効求人1件に対して約1.7人の有効求職者がいる状態になります。
一方、帝国データバンクの調査では、2026年4月時点で正社員の人手不足を感じている企業は50.6%でした。
出典:人手不足に対する企業の動向調査(2026年4月)|帝国データバンク
ただし、経理事務の有効求人倍率と、経理部長の転職市場は分けて考える必要があります。
有効求人倍率0.59倍は、ハローワークに掲載された経理事務の求人と求職者を対象にした数字です。民間の転職サービスが取り扱う管理職求人や非公開求人は含まれません。
また、企業全体の人手不足率と、経理事務の有効求人倍率は、対象や調査方法が異なります。
経理部長求人の競争率を示す公的統計は確認できません。
経理事務の求人倍率だけを見て「経理部長も買い手市場」「人手不足だから経理部長は売り手市場」と判断することは避けましょう。
あいおん重要なのは、募集企業が求める経験と、自分の経験がどの程度一致しているかです。
経理部長の年収を正しく読む視点3つ

経理部長の年収を調べると、600万円台から900万円前後まで幅のある数字が出てきます。
差が生じる理由は、調査対象が異なるためです。
役職別の公的統計、経理職全体の転職サービスデータ、ハイクラス転職の成約データを同じ平均年収として扱うことはできません。
確認するデータは、次の3つです。
- 公的統計: 全職種の部長級における所定内給与額
- 転職サービス: dodaに登録した経理職全体の平均年収
- ハイクラス転職: JAC Recruitmentが支援した経理管理職の平均年収
| 調査 | 主な対象 | 金額 | 読み方 |
| 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」 | 全職種の部長級 | 月額63万5,800円 | 賞与と時間外手当を含まない所定内給与額 |
| doda平均年収ランキング | dodaに登録した経理職 | 549万円 | 役職を限定しない経理職全体の平均 |
| JAC Recruitment | 同社が支援した課長以上の経理職 | 866.3万円 | ハイクラス転職の成約者に限定された平均 |
3つの数字は、経理部長という同じ条件を比較したものではありません。
公的統計では月額63万5,800円
厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査によると、部長級の所定内給与額は月額63万5,800円です。
役職別の所定内給与額は、次のとおりです。
| 役職 | 所定内給与額 |
| 部長級 | 63万5,800円 |
| 課長級 | 52万9,200円 |
| 係長級 | 39万9,200円 |
| 非役職者 | 31万500円 |
所定内給与額とは、労働契約などであらかじめ定められた給与のうち、時間外勤務手当や深夜勤務手当、休日出勤手当などを除いた金額です。
賞与も含まれていません。
そのため、月額63万5,800円を12倍した762万9,600円を、経理部長の平均年収として扱うことはできません。
また、この統計は経理部長だけを対象にしたものではありません。さまざまな職種の部長級が含まれています。
あいおん役職による給与差を確認するための参考値として見てください。
転職サービスに登録した経理職では549万円
dodaの平均年収ランキングによると、経理の平均年収は549万円です。
年代別では、次のとおりです。
- 40代:619万円
- 50代以上:717万円
ただし、dodaの549万円は、2024年9月~2025年8月にdodaへ登録した20~65歳の正社員を対象とした経理職全体の平均です。
経理部長だけを集計した数字ではありません。
メンバー、主任、課長、部長など、さまざまな役職の人が含まれます。
そのため、「経理部長を目指す人にとって549万円が下限になる」「50代以上の717万円を下回る部長は企業規模の影響を受けている」とは断定できません。
あいおん現在の年収と比較するときは、役職や担当業務、企業規模が近い求人を確認しましょう。
ハイクラス転職の管理職平均は866.3万円
JAC Recruitmentの転職成約データによると、経理職全体の平均年収は735.2万円です。
役職別では、次のように分かれています。
- メンバークラス(課長未満):651.1万円
- 管理職クラス(課長以上):866.3万円
平均年収差は215.2万円です。
ただし、管理職クラスには課長以上が含まれており、経理部長だけを対象にした平均ではありません。
また、JAC Recruitmentはハイクラス・ミドルクラスの転職支援を扱うサービスです。
同社を通じて転職した人のデータであるため、経理管理職全体の平均年収として扱うことはできません。
経理部長の年収を考えるときは、次の要素を合わせて確認してください。
- 役職
- 企業規模
- 上場・未上場
- 担当する組織の人数
- 連結子会社の数
- 開示やIPO準備の有無
- 財務や資金調達まで担当するか
- 取締役や執行役員を兼ねるか
経理部長の転職で空く席3つ

企業が経理部長を外部採用する背景には、いくつかのパターンがあります。
代表的なものは、次の3つです。
- 新設ポスト: IPO準備や事業拡大に伴い、経理部門を新設・強化する
- 組織変更に伴うポスト: 事業承継、M&A、経営体制の変更に対応する
- 欠員補充: 前任者の退職や異動に伴い、後任を採用する
ただし、外部採用される経理部長求人が、この3種類だけに限られるわけではありません。
海外進出、子会社設立、経理機能の集約、管理部門の分離など、別の理由で採用する企業もあります。
上場準備で新設される席
IPO準備企業では、上場に必要な経理・管理体制を整えるため、経理責任者や経理部長を外部採用する場合があります。
IPO準備では、次のような業務が必要です。
- 月次・年次決算の早期化
- 連結決算体制の整備
- 会計方針の統一
- 内部統制の構築
- 監査法人への対応
- 主幹事証券会社への対応
- 開示資料の作成
- 規程や業務フローの整備
- 会計システムの導入
社内に上場準備の経験者がいない場合は、上場企業やIPO準備企業での経験を持つ人が外部から採用される可能性があります。
新設ポストでは、会計システムや業務フローを設計できる裁量を得られることがあります。
一方、上場準備のスケジュールや経営方針が変更される可能性もあります。
ストックオプションが提示される場合は、付与条件、権利確定条件、行使価格、退職時の扱いなどを書面で確認してください。
「上場しなければ必ず無価値になる」とは限りませんが、将来価値が保証された報酬ではありません。
事業承継やM&Aで組織が変わる席
事業承継やM&A、経営体制の変更に伴い、経理・財務の責任者を新たに採用する場合があります。
例えば、次のようなケースです。
- 創業者から後継者へ経営を引き継ぐ
- ファンドや事業会社が株式を取得する
- 子会社を統合する
- 管理部門を再編する
- CFOや管理部長を新設する
このような求人では、決算実務だけでなく、資金繰りや金融機関折衝、経営陣への説明、組織変更への対応などが求められることがあります。
入社前には、次の点を確認してください。
- 株主や経営陣の変更内容
- 経理部長に与えられる権限
- CFOや管理部長との役割分担
- 会計や財務に対する経営陣の考え方
- 今後予定されている組織再編
- 現在の経理部門の課題
- 既存メンバーの人数と経験
面接では、「経営会議でどのような財務資料を確認しているか」「経理部長に最初の半年で何を期待するか」などを質問すると、求められる役割を確認しやすくなります。
前任者が退職・異動した席
前任者の退職、定年、異動などに伴い、経理部長の後任を募集するケースがあります。
厚生労働省の令和6年雇用動向調査では、60~64歳男性の離職理由のうち「定年・契約期間の満了」が54.6%でした。
ただし、この数字は全職種の男性離職者を対象としており、経理部長の欠員理由を示すものではありません。
欠員補充の求人では、前任者の退職理由と引き継ぎ状況を確認してください。
主な確認項目は次のとおりです。
- 前任者が退職・異動する理由
- 前任者の在籍年数
- 引き継ぎ期間
- 引き継ぎ資料の有無
- 過去数年間の退職者数
- 経理部門の残業時間
- 決算の締め日数
- 監査法人からの指摘事項
- 未処理の課題
- 経理部門の人員構成
定年退職であっても、引き継ぎ資料が整っているとは限りません。
一方、短期間で前任者が退職していても、必ずしも職場環境に問題があるとは限りません。
募集背景と組織の状況を確認し、複数の情報から判断してください。
運営者のあいおんは、完全未経験から経理へ転職し、3社から内定を獲得しています。
書類選考で数十社連続の不採用を経験した後、応募先の選び方と職務経歴書の書き方を見直したことで結果が変わりました。
これまでに相談を受けた20人以上も、経理への転職に成功しています。
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経理部長の年収が動く条件3つ

経理部長への転職で年収に影響する主な条件は、次の3つです。
- 役職: 課長級と部長級では所定内給与額に差がある
- 職種・担当領域: 経理、財務、内部監査などで平均年収が異なる
- 転職時の年齢: 年齢階級によって転職後の賃金変動に差がある
ただし、どのデータも、同じ人が役職や職種を変えた前後の年収を比較したものではありません。
課長級と部長級で月額10万6,600円の差がある
厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査では、部長級の所定内給与額が月額63万5,800円、課長級が52万9,200円です。
差は月額10万6,600円です。
単純に12カ月分へ換算すると127万9,200円になります。
ただし、課長から部長へ昇進すれば、年収が一律で約128万円上がることを示す数字ではありません。
部長級と課長級では、企業規模、年齢、勤続年数、職種などが異なります。また、賞与や時間外手当は含まれていません。
非役職者の所定内給与額31万500円と部長級との差は、月額32万5,300円です。
この差も、役職手当だけを示すものではありません。基本給や年齢、勤続年数などの違いも含まれます。
役職別データは、部長級で給与水準が高くなる傾向を確認する参考値として扱いましょう。
女性の部長級における所定内給与額は57万8,300円で、前年から5.2%増加しています。
ただし、単年度の増加率だけで「女性管理職の門戸が広がっている」と断定することはできません。
管理職に占める女性の割合や採用・昇進の状況など、別のデータも必要です。
隣接職種では平均年収が異なる
dodaの平均年収ランキングによると、職種別の平均年収は次のとおりです。
| 職種 | 平均年収 |
| 内部監査 | 753万円 |
| 内部統制 | 716万円 |
| 経営企画・事業企画 | 703万円 |
| 管理会計 | 666万円 |
| 財務 | 630万円 |
| 経理 | 549万円 |
経理と内部監査の平均年収差は204万円です。
ただし、経理から内部監査へ転職すれば、一律で204万円上がるわけではありません。
職種によって、役職者の割合、年齢構成、必要な経験などが異なります。
経理部長を目指す過程で、次のような隣接業務を経験する方法があります。
- 内部統制
- 内部監査
- 管理会計
- 財務
- 経営企画
- リスク管理
- コンプライアンス
- M&A・PMI
J-SOXとは、金融商品取引法にもとづく財務報告に係る内部統制報告制度の通称です。
上場企業やIPO準備企業の経理部長を目指す場合、内部統制の整備・運用評価へ関わった経験が評価される可能性があります。
転職後の賃金変動は年齢によって異なる
厚生労働省の令和6年雇用動向調査では、転職後に賃金が増加した人の割合は、次のとおりです。
- 45~49歳:46.4%
- 50~54歳:39.0%
- 55~59歳:27.4%
55~59歳では、賃金が減少した人の割合が36.6%となり、増加した人を上回っています。
ただし、これは経理部長や管理職だけを対象にした数字ではありません。
全職種の転職入職者を対象としており、正社員以外や職種変更をした人も含まれます。
そのため、「55歳を超えると条件を下げる交渉が前提になる」「45~54歳なら年収が上がる確率が4割ある」と、個人の転職結果へ直接当てはめることはできません。
経理部長の転職では、年齢に加えて、次の要素が重要です。
- 現在の役職
- 部下の人数
- 担当した企業規模
- 上場企業での経験
- 連結・開示経験
- 財務や資金調達の経験
- 転職先で求められる役割
- 現在の年収
あいおん年齢だけで転職時期を決めず、自分の経験で応募できる求人を確認してください。
経理部長に企業が求める経験3つ

経理部長の採用では、決算を処理できるだけでなく、部門全体を管理できるかが評価されます。
主な経験は、次の3つです。
- 実務範囲: 連結決算や開示などの高度な決算経験
- 対外折衝: 監査法人、税理士、金融機関などへの対応
- 組織運営: 人材育成、業務分担、決算体制の改善
すべての企業で同じ経験が必須となるわけではありません。
未上場企業や中小企業では、単体決算、税務、資金繰りなどの幅広い経験が重視される場合があります。
連結決算と開示の実務
上場企業や子会社を持つ企業の経理部長求人では、連結決算の経験が求められる場合があります。
連結決算とは、親会社と子会社を一つの企業グループとして捉え、連結財務諸表を作成する業務です。
主な業務には、次のようなものがあります。
- 子会社からの決算情報の収集
- 会計方針の統一
- グループ内取引の消去
- 投資と資本の相殺消去
- 海外子会社の換算
- 連結仕訳
- 連結財務諸表の作成
上場企業では、有価証券報告書や決算短信などの開示書類を作成します。
ただし、すべての経理部長求人で、連結決算と開示経験が必須となるわけではありません。
単体企業や未上場企業では、年次決算、税務申告、資金繰り、金融機関対応などが中心になる場合があります。
IPO準備企業でも、開示未経験者を採用するかどうかは、企業の準備段階や他のメンバー構成によって異なります。
「IPO準備企業なら開示未経験でも採用される」とは一律に判断できません。
職務経歴書には、次の内容を具体的に記載してください。
- 連結対象会社数
- 国内・海外子会社の内訳
- 担当した連結工程
- 開示書類で担当した項目
- 決算を締めるまでの日数
- 使用した連結会計システム
- 監査法人対応の範囲
監査法人や金融機関との折衝
経理部長は、監査法人、税理士、金融機関など、社外の関係者と調整する役割を担います。
監査法人対応では、次のような業務があります。
- 会計処理の根拠説明
- 監査資料の提出
- 監査指摘への対応
- 会計方針の検討
- 監査スケジュールの調整
- 経営者確認書などの準備
金融機関対応では、次のような業務があります。
- 資金繰りの説明
- 融資交渉
- 事業計画の説明
- 財務制限条項の管理
- 借入金の更新
- 金利や返済条件の交渉
ただし、「監査法人の指摘に反論できなければ部長として評価されない」とは限りません。
監査法人と適切に協議し、会計基準や事実関係にもとづいて処理を決めることが重要です。
職務経歴書では、単に「監査法人対応を担当」と書くのではなく、次のように具体化しましょう。
- 対応した論点
- 関係者
- 自分の役割
- 検討した選択肢
- 最終的な結果
金額や処理内容を書く場合は、守秘義務に配慮し、公開できる範囲にとどめてください。
経理組織の運営と人材育成
経理部長には、メンバーが継続して業務を進められる組織を作る役割があります。
主なマネジメント業務は次のとおりです。
- 人員配置
- 業務分担
- 目標設定
- 人事評価
- メンバー育成
- 採用
- 業務の標準化
- 属人化の解消
- 繁忙期の業務管理
- 決算スケジュールの管理
厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査では、非役職者の平均勤続年数は10.8年です。
ただし、この数字から、人材が定着するかどうかが経理部長の力量だけで決まるとは判断できません。
勤続年数には、業界、企業規模、雇用環境など、さまざまな要因が影響します。
面接では、管理した人数だけでなく、組織をどのように改善したかを説明してください。
例えば、次のような実績です。
- 月次決算を15営業日から8営業日へ短縮した
- 手順書を作成し、属人業務を複数人で担当できるようにした
- 若手へ決算業務を移管した
- 残業時間を月20時間削減した
- 会計システムを導入した
- 退職者の業務を再配分した
あいおん成果は、自分が担当した期間やメンバー数と合わせて記載すると伝わりやすくなります。
経理部長の転職で後悔しない進め方3つ

経理部長への転職では、年収や役職名だけでなく、募集背景と組織の状況を確認する必要があります。
主な進め方は、次の3つです。
- 見極め: 募集背景と入社後の役割を確認する
- 情報源: 複数の方法で求人を比較する
- 判断軸: 現職に残る選択肢も含めて判断する
応募前に募集背景を確認する
求人票を確認したら、最初に募集背景を調べてください。
主な募集背景は次のとおりです。
- IPO準備による新設
- 事業拡大による増員
- 事業承継
- M&A・組織再編
- 前任者の退職
- 定年退職
- 異動
- 経理組織の立て直し
- 子会社増加
- 海外展開
求人票の業務内容から、背景をある程度推測できる場合があります。
「内部統制の構築」「IPO準備」と記載されていれば、新設や組織強化の可能性があります。
「資金調達」「金融機関折衝」が中心であれば、財務機能の強化が目的かもしれません。
「決算業務の統括」「前任者からの引き継ぎ」が中心であれば、欠員補充の可能性があります。
ただし、求人票だけで募集背景を断定することはできません。
採用担当者や転職エージェントへ、次の内容を確認してください。
- 採用理由
- 前任者の有無
- 前任者の退職理由
- 経理部門の課題
- 入社後に期待される業務
- 最初の半年で達成してほしいこと
- 現在の組織構成
- CFOや管理部長との役割分担
特化型と総合型を併用する
経理・管理部門に特化した転職エージェントと、幅広い職種を扱う総合型サービスでは、取り扱う求人が異なります。
最初は特化型と総合型を1社ずつ利用すると、異なる視点から求人を比較できます。
ただし、2社までに限定する必要はありません。
紹介される求人が少ない場合や担当者との相性が合わない場合は、利用するサービスを入れ替えたり追加したりしてください。
経理・管理部門の求人を扱う主なサービスには、次のようなものがあります。
| サービス名 | 運営会社 | 主な特徴 | 経理部長転職での使い方 |
| MS-Japan | 株式会社MS-Japan | 管理部門・士業分野に特化している | 上場企業、IPO準備企業、管理職求人などを確認したい場合 |
| ジャスネットキャリア | ジャスネットコミュニケーションズ株式会社 | 経理・財務分野の求人を扱う | 経理責任者や管理職を含む求人を確認したい場合 |
| ヒュープロ | 株式会社ヒュープロ | 士業・管理部門分野の求人を扱う | 会計事務所や中小企業を含めて比較したい場合 |
| マイナビエージェント | 株式会社マイナビ | 幅広い業界・職種を扱う総合型 | 管理部長や財務責任者なども含めて検討したい場合 |
サービス内容や求人の対象層は変わる可能性があります。利用前に公式サイトで最新情報を確認してください。
「MS-Japanなら必ずIPO準備求人がある」「ジャスネットキャリアなら部長求人が多い」とは限りません。
あいおん実際に保有している求人と担当者の提案内容を比較しましょう。
転職しない選択も残して比較する
転職エージェントへ相談したからといって、必ず転職する必要はありません。
現在の会社で経理部長へ昇進できる可能性がある場合は、社内に残る方法も選択肢です。
比較したい項目は次のとおりです。
- 社内で部長へ昇進できる時期
- 昇進した場合の年収
- 現在の上司や後継者の状況
- 外部求人の年収レンジ
- 転職後の役割
- 部下の人数
- 企業の経営状況
- 勤務地や働き方
- 定年・役職定年
- 退職金
部長級の平均勤続年数が22.6年だからといって、長く在籍している人が必ず昇進できるわけではありません。
昇進には、社内の人事制度、ポストの有無、評価、組織構成などが影響します。
社内で昇進した場合と、転職した場合の条件を並べて判断してください。
転職エージェントへ「現職に残る可能性もある」と伝えることはできます。
ただし、相談だけの利用が可能か、応募を前提とした支援かはサービスや担当者によって異なります。
【Q&A】経理部長の転職でよくある質問

経理部長への転職について、よくある質問に回答します。
Q1. 経理部長の平均年収はいくらですか?
経理部長だけを対象にした公的な平均年収は確認できません。
厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査では、全職種の部長級における所定内給与額が月額63万5,800円です。
ただし、賞与や時間外手当を含まないため、年収へ単純換算することはできません。
JAC Recruitmentの転職成約データでは、課長以上の経理管理職の平均年収が866.3万円です。
こちらも経理部長だけの平均ではなく、同社が転職を支援した人に限定された数字です。
Q2. 経理部長には何歳でなれますか?
厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査では、部長級の平均年齢は53.1歳です。
ただし、全職種の平均であり、経理部長への就任年齢を示す数字ではありません。
また、平均勤続年数22.6年から、入社年齢や部長への昇進時期を逆算することはできません。
40代で経理部長になる人もいれば、50代以降に就任する人もいます。
企業規模や役職構成、経験によって異なります。
Q3. 経理部長になるには何年の実務経験が必要ですか?
経理部長に必要な実務経験年数に、一律の基準はありません。
10年以上の経理経験を求める求人もありますが、企業ごとに条件は異なります。
厚生労働省が示す部長級の平均勤続年数22.6年は、経理実務の経験年数ではありません。
現在の企業に勤めている年数であり、経理以外の職種も含まれます。
経験年数だけでなく、決算、連結、開示、税務、マネジメントなどの担当範囲が重要です。
Q4. 経理部長の求人はどこで探せばよいですか?
転職サイト、企業の採用ページ、転職エージェント、ヘッドハンティングサービスなどで探せます。
経理部長や管理職の求人には、公開求人と非公開求人があります。
非公開求人が多いと断定できる公的データはありませんが、組織変更や後任人事に関わるため、一般公開されない求人もあります。
複数の求人経路を利用し、条件を比較してください。
Q5. 経理部長への転職で年収は上がりますか?
役職や担当範囲、企業規模によっては年収が上がる可能性があります。
ただし、必ず上がるわけではありません。
厚生労働省の令和6年雇用動向調査では、転職後に賃金が増加した人が45~49歳で46.4%、55~59歳で27.4%でした。
これは全職種の転職者を対象にした数字であり、経理部長の年収増加率ではありません。
現在の年収と求人の提示条件を比較して判断してください。
Q6. 経理部長に資格は必要ですか?
経理部長になるために、法律上必須となる資格はありません。
求人では、資格よりも決算やマネジメント経験を重視する企業があります。
一方、公認会計士、USCPA、税理士、日商簿記1級などが、会計知識を示す材料になる場合があります。
資格を持っていれば必ず評価されるわけではありません。
応募先の業務で資格の知識をどのように活かせるかを説明してください。
Q7. 経理部長からCFOになれますか?
経理部長からCFOを目指すことは可能です。
CFOの役割は企業によって異なりますが、経理・財務に加えて、次のような業務を担う場合があります。
- 資金調達
- 資本政策
- M&A
- 投資判断
- 予算管理
- 経営戦略
- 株主・投資家対応
- IPO準備
経理部長として、資金調達や事業計画、M&Aなどへ担当範囲を広げると、CFO候補として評価される可能性があります。
dodaの経営企画・事業企画の平均年収703万円は、CFOの年収を示す数字ではありません。
Q8. 経理部長の転職は何歳まで可能ですか?
経理部長の転職に一律の年齢上限はありません。
厚生労働省の令和6年雇用動向調査では、60~64歳の転職入職者のうち、賃金が増加した人は13.6%、減少した人は60.9%でした。
ただし、全職種を対象にした数字です。
60代で経理部長や管理部門責任者として採用される人もいます。
年齢だけでなく、専門性、役職、契約形態、希望年収などによって求人の選択肢が変わります。
【まとめ】経理部長への転職は募集背景と求められる役割を確認する

厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査によると、部長級の平均勤続年数は22.6年、平均年齢は53.1歳です。
ただし、この数字から、経理部長の大半が社内昇進であると断定することはできません。
企業が経理部長を外部採用する主な背景には、次のようなものがあります。
- IPO準備や事業拡大による新設
- 事業承継やM&Aによる組織変更
- 前任者の退職や異動に伴う欠員補充
これらは代表的な例であり、外部採用の理由が3種類だけに限られるわけではありません。
経理部長の年収も、参照するデータによって異なります。
厚生労働省の調査では、全職種の部長級における所定内給与額が月額63万5,800円です。
dodaの経理職全体の平均年収は549万円、JAC Recruitmentが支援した課長以上の経理職は866.3万円でした。
3つの数字は、調査対象と給与の範囲が異なります。
経理部長の転職で評価される主な経験は、次のとおりです。
- 月次・年次決算の統括
- 連結決算
- 開示書類の作成
- 税務申告
- 内部統制
- 監査法人対応
- 金融機関折衝
- 資金繰り・資金調達
- システム導入
- メンバーの育成
- 経理組織の改善
求人へ応募する前に、募集背景と入社後に求められる役割を確認してください。
自分の経験を整理するときは、次の項目を書き出します。
- 管理した人数
- 担当した企業・子会社の規模
- 決算を締めるまでの日数
- 連結対象会社数
- 開示書類の担当範囲
- 監査法人や金融機関との交渉実績
- 改善した業務
- 転職後に希望する役割
現在の会社で昇進する方法と、外部の部長求人へ転職する方法を比較してください。
年収や役職名だけで決めず、募集背景、権限、組織の課題、引き継ぎ状況まで確認することが、入社後の後悔を避けるために重要です。
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